最期の力を振り絞った
久しぶりに夢を見た。
自分が死に瀕している夢。
手足が鬱血し、もう長くない。
ああ、今日僕は死ぬのだと確信し、床に就く。
体が世界に溶けていくような感覚とともに、穏やかな死を迎えようとしていた。
人生を後悔することもなく、ただ受け入れる。
これが死ぬってことかあ…などとぼんやり思っていたら、ふと「あ、あのデータ消しておかないとヤバイ」と思い出した。
そう、職場のPCに保存してある個人的なアレとかコレとか!(そんなものはない)
急に現実に引き戻され、加速する思考。
あ、データだけじゃない、前の職場にもアレを置いたままだ!(そんなものはない)
マズイマズイマズイぞこのまま三途の川は渡れない!誰かに頼もうにも頼めない!
とにかくアレを捨ててデータを消去しなくては。
よいしょ!と起き上がったところで目が覚めた。
羞恥心が死を超えることに驚きつつ、妻子を残して逝けないとかそんな理由ではなく実にエゴでエロな理由で蘇った自分に呆れたのでした。
年末にでもデータ整理しよう……。