赤いきつねが拓く「おいしい笑顔」
離乳食を始めて数か月。
夕食は僕が息子に食べさせながら一緒に食べるのだけれど、最近は大人と同じものを食べたがって仕方がない。自分のゴハンそっちのけで僕のゴハンに手を出そうとする。
……あのなあ、君が食べてくれないとお父さんはご飯を食べられないんだよ。ほら座って。はい、あーん!(その間、妻は僕と交代するべく急いでゴハンをかっこんでいる)
そんな状況で麺類を食べるのもどうかと思うのだけど、ふと、その時食べようとしていた「赤いきつね」の麺を水ですすいで、細かくしたものをあげてみた。
もぐもぐもぐ → にっこー!(超笑顔)
お、おおぅ……。
食べながら笑ったのは初めてだ。口に入れて嫌な顔をすることはあっても笑うことはなかったので、食べているものが美味いんだか不味いんだかよくわからなかったのだ。
初めての「おいしい笑顔」がお母さんの作ったゴハンで、じゃないのが少しだけ残念だけれど、以来、食べて笑顔になることが増えたので、バタバタした食事が少し楽しくなった。
おいしいものを食べて笑顔になれるって素敵なことだな、と思う。
赤いきつねは、人を笑顔にする力を持っている(おおげさ)。