こんくそブログ

少しだけ人生を無駄づかいしたくなったら。

イマドキの長時間残業はつらいよ

長時間残業に対して甘い、という人がいるけどさ

これは時代についていけなくなってきたオジサンの愚痴で、しかもグズグズなのですけれども。

100時間の残業なんて甘い!私が若いころは仕事も遊びも目いっぱいやった」とか、バブルの美味しいところだけ味わったくらいの年齢の人が、偉そうに、ツイッターでテレビに投稿してまで、死者にムチ打つ様を見てしまったのでどうしようもなく悲しくなった。そして、腹が立った。あなたと同世代の人にろくなひとがいなかったので余計にね。

「プリントがうまく出ない」とか「PCがおかしくなった」とか言って大騒ぎをする。そのうえ、お客様への挨拶状ひとつ満足に作れない(偏見)。自分じゃ何もできないのに聞きかじりやネットで見た知識をひけらかしてドヤ顔する。

ええ、ええ、あなたができないことをやって差し上げますとも。あ、ここ誤字がありますね。言葉の使い方も間違っています。これ、MSゴシックはどうかと思いますよ。スペースでずらすんじゃなくてセンター揃えにしてくださいよ。何このポップアップ…ダイアログを読まずにOK押さないでくださいまったく何インストールしてんですか。

僕の周りの人は、特別そういう人が集まったのだと思いたい。

絶望せずに済んだのは、手に職を持っていたから

さて、ついこないだまで、月100時間超の残業が数カ月にわたる生活をしていた。同時にいくつも至急の仕事を抱える中で、それぞれの仕事が三歩進んで二歩下がるとか、現場にとっては心理的ダメージも大きい。営業何やってんだよ。客先で話一つまとめられないからフォローしたり、上記のような年上の社員に足を引っ張られたりでHPもMPも削られていく。自分の部署はもう深夜残業続きで手一杯。だから「ちょっと手伝ってもらえませんか」と他部署に超低姿勢でお願いしに行ったらキレられて。断られて。あんたら、残業がほとんどない部署なのに何なのそれ。たかだか数十人規模の会社でこれって、ひどくない?

僕は一瞬の怒りの後、気持ちがスーッと冷めていった。今でも思い出せる。あの瞬間、僕は会社を見限ることができたんだ。

これは僕がもともと転職組で、それなりに実績も経験も重ねていたことが大きい。いざとなったら独立しても何とか食っていけるという自信が自分の中にあったから、自分に絶望せずに済んだのだと思う。会社には絶望というか失望したけどね。

「死を選ぶ前に辞めればよかった」という意見もあるけれど、新入社員で、自分の中にまだ何もない状態で「辞める」という選択肢はなかなか難しいと思う。独立できるような武器も身についていない。人脈もない。次のあてもない。周りは認めてくれない。助けてなどくれない。仕事が終わらない。結果が出ない。自分の中に何もない。それでも生きなきゃならない。ないない尽くしで、選択肢が「ある」ことなど見えなくなってしまう。新入社員だよ?半人前のうちは助けが必要なのに、何をどうしたらそうなるの?

そういう疑問もなく「甘い」とか「私の若いころは」とか言えてしまう神経が本当にわからない。ああ、また腹が立ってきた……そうだった、僕はあのツイートに腹を立てているのだった。

時間だけで比較するのは簡単かもしれないけどなんか違う

そもそも、数十年前と今現在の仕事のスピード、質、量を比較せずに、100時間という残業時間だけで語られているようで違和感を覚える。そういうデータはどこかにないのかな。例えば、多くの仕事で普通に使われているけど、パソコンひとつ使うのだって、結構なもんだよ?

企画書を作成して提出しろ、という業務のためには、資料を集めたり内容を考えたりする以外に、PCの使い方を覚えたり、ソフトの使い方を覚えたり、プリンタの使い方を覚えたりしなきゃならない。上司の気に入るデザインのグラフを作るためには別のソフトの使い方も覚えなきゃならないし、写真を綺麗に加工する必要だってあるかもしれない。そういうことを何度か繰り返して、ようやく使い方を覚えた頃にはバージョンアップして途方に暮れたり、OSが勝手にアップデートしてナニコレ状態になったり

PCやインターネットの黎明期、1GBのHDDに驚いたり、フロッピーディスクでソフトをインストールしたり、簡単な3Dのレンダリングに一晩かかったり、カラーでプリントするのに数十分かかったりするような、そんなのんびりした時代からチマチマと経験を積み上げてこれたことは、僕にとって幸運だった。ソフトウェアも今みたいにやたらメニューが多いってこともなかった(イマドキのイラレとかインデザインとか、ホントにスゴイよね!)。

何かで「テレビの作り方を知らなくてもテレビは見られるでしょ?」っていうのを聞いたことがあるけど、今はもう「テレビの構造を知らないとテレビがマトモに映らない」みたいな印象。僕、もう新しいソフトウェアとか聞くと「うへぇ」ってなるお年頃になってしまった。人間、そんなになんでもかんでもできないよ!

ITの進歩で「使えれば」便利なものが増えたおかげで、単純なはずの仕事が、高度で複雑な作業を伴うようになってしまってはいないかなあ。