著名人から熱烈アピールされていやー困ったなーでへへ、みたいな妄想ひとり遊び
「もしもし?」
『安倍です』
「ええと、阿部くん?久しぶ『内閣総理大臣です』
「は、はい???」
『そろそろ解散するから。次は君だよ。君しかいない。いいね?』
「え?え?」
『大丈夫。君ならできる。詳しいことは秘書から連絡するから。じゃ、会議なんで。がちゃっ』
つーつーつー
「もしもし」
『もしもし、私』
「どちら様ですか?」
『ヒラリーよ。ヒラリー・クリントン』
「え、えーと…」
『次の大統領選、絶対勝つから。私と首脳会談しなさいよ?絶対よ?わかったわね?じゃ、忙しいから切るわがちゃっ』
つーつーつー
「もしもし」
『トランプだ』
「は?」
『君は私にとってジョーカーだな』
「?」
『私の持つどのカードより強い。HAHAHAHA!……不動産は全部君に譲るよ。がちゃっ』
つーつーつー
「もしもし」
『羽生結弦といいます』
「え?」
『僕…あなたのために5回転飛びますから!それじゃ!がちゃっ』
つーつーつー
テレビを見ながら、映る人を片っ端から勝手に僕の信者に仕立て上げ、電話を掛けさせるという妄想ひとり遊び「もしもシリーズ」(ところでこのシリーズタイトルは電話の「もしもし」とかけているのだ。どうでもいいけど)。
「もしもシリーズ」にはルールがある。
それは、その人物が映っているうちに完成させなければならない。完成しなかった場合、二度とその人物に電話をかけてもらえない(横断歩道の白いところを踏み外すと地面に飲み込まれる的なルールなのですぐ復活するけど)。ちょっとうまいこと言わせることができたら高得点(実際に点数をつけているわけではない)。
これを始めると忙しく、当然ながら放送内容は頭に入ってこない。完成したもしもしは、登場人物が全員急いでいる上に会話の辻褄が合っていなかったりする。
いい歳こいてと思いつつ、ちょっと楽しいので頭の体操のつもりでやってしまう。人には言えないけど。
例えば僕が認知症とか何らかの形で自制心が壊れたり、あるいは現実と区別できなくなったら……あらぬことを口走って人様に迷惑をかけるかもしれない。だから妻にだけは話しておくべきだろうか、と時々思うけど、やっぱりこんなこと言えないや。
妄想ひとり遊び、これひとつじゃないし。