ホットサンドはおふくろの味
最近ホットサンドがブーム、というのを出勤中のラジオで聞いた。
僕にとってホットサンドはおふくろの味。子どものころ、母が時々作ってくれた思い出の味だ。
具はたいてい、キャベツとトマトとハムとチーズ。時々シーチキンが入っていた。それらをこれでもかというほど詰め込んで、無理やり挟み込む。弱火にしたコンロでじっくり焼いたホットサンドは、当時のうちにとって結構贅沢な料理だったように思う。
うちにあったホットサンド用のフライパンは、ダブルっていうんだね、真ん中で区切られていて、焼いた後半分にしやすいようになっているものだった。
弟妹もいたので、当然みな半分ずつ食べる。焼くのに時間がかかる(子どもにとってはたいへん長い時間だ)ので、早く食べ終えてしまうと次のが焼けるまで待たないといけない。だからゆっくり食べたいのに、おいしいから結局がつがつ食べ終えて、おかわりをまだかまだかと待つ羽目になった。
母が亡くなって2年経った去年、ふとこのホットサンドが食べたくなった。妻に言うと、食べたことがないという。フライパンも見たことがない。なに、あのおいしさを知らないとか人生の半分損しているぞ!と使い古された大げさな言い回しで検索したら、電気式のものにまぎれて見つけた、バウル―のホットサンドメーカー。
当時と変わったのは、テフロン加工になったくらいか。そのまま購入しようと思ったのだけれど、鉄でできてる「あのフライパン」が懐かしくて、実家にあるフライパンを持ってくることにした。だいぶ焦げ付いていたけれど、形見分けの品はこれでいいです。これがいいです。
クックパッドの力も借りながら焼いたホットサンドは、子どものころと同じ味。やっぱりおいしい!
以来、ホットサンドを作る役は僕が引き継ぐことになった。何度か作ったけれど、やっぱりちょっと焦げてしまったり、薄く焼いた玉子焼きをいれてみたり、コンビーフを入れてみたり、楽しんでいる。
息子がもう少し大きくなったら、作ってやろう。その時、おふくろの味は父の味になるのだ。
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